“社内翻訳担当者の専門翻訳技術をクローンする”
という、不可能とも思えるプロジェクトを実現した
シストランのAI翻訳。
事例研究
CKD 課題
製造業において、製品カタログの翻訳には超えねばならないハードルがある。専門領域における翻訳は、一般的な文章に比べそもそもの難易度が高く、かつ、業界内でしか使われない専門用語、社内用語、製品名といった特殊な固有名詞や”言い回し”なども理解しなければならず、対応できる翻訳者の数も少ない、というのがCKDの実情だった。
そこでCKDは言語の品質が将来的に低下することのないように、言語スキルをAIに学習させ、品質の高い翻訳水準を常に維持することを目指した。
- まず着手したのは翻訳精度向上のための翻訳者探し。一般的な英語の翻訳者を探すことはそう難しくはないが、顧客の業界事情や社内事情にくわしい知識を持つ人となると、人材集めは困難になる。そこでCKDでは、外部翻訳業者ではなく、自社内での翻訳精度向上の方法を模索した。
- 「幸いなことに、英語ネイティブで業界知識の豊富な人材を社内で確保することができ、業者からあがってきた翻訳文をチェックして精度をあげることができました。しかし、ようやく確保できた担当は1名だったので、仕事量が膨大になり、『すべての仕事をさばくには、私のクローンを作って作業させるしか方法はありません』と言われてしまいました」と語るのは、販売促進部の島竜一郎部長。つまり、翻訳担当者から”不可能“を突きつけられてしまったのだ。
- さらに、翻訳業者の作業に追加して、社内の翻訳担当者のチェック作業も加わり、プロジェクトとしてはコスト・期間が膨れてしまう状況だったという。
「翻訳コスト・期間の削減を実現するには、自動翻訳を導入する必要がありました。一方で、翻訳の質は絶対に落とすことはできない、というジレンマがあり、なかなか踏みきることはできませんでした」(島部長)。
ここ数年間でAIによる翻訳技術は格段に向上しており、すでに多くの汎用的な翻訳エンジンが存在しているが、CKDの製品カタログを翻訳するには力不足だった。CKDがカタログに使っている専門用語は単語数にしておよそ16万にも及ぶが、一般的な翻訳システムではこれらを判別できず意味が通じない文章が多々発生してしまうからだ。 約16万の用語を完璧に学習できることが翻訳精度の担保には絶対条件だが、自動翻訳サービス探しは困難を極めた。
SYSTRAN翻訳 サーバー
シストランのAI 翻訳がどれほど正確だったかというと、翻訳作業を人手で行っていた際、CKD のネイティブの翻訳担当者が文章の約70%に手を入れていたのに対し、AI 翻訳では修正すべき箇所が3%しかなかったほど。その結果、翻訳チェックの作業負担も大幅に軽減された。
CKDより以下のコメントを頂きました。
- 「ほぼ完璧に翻訳された文章があがってきて驚きました。さらに驚いたのは、人手では14 日かかっていた翻訳作業が、たったの数分間に短縮されたことです」
- 「実は、他の会社のAI 翻訳を試した際には、シストランほどの精度を得られませんでした。なぜならその会社のAI 翻訳は、一単語の名詞の学習しかできないシステムになっていたからです。弊社の製品名には名詞だけでなく、形容詞や動詞、副詞などを含む複数の単語からなる長いものが多々あり、これを製品名と理解できずに誤訳してしまうのです」
- 「シストランのAI 翻訳は、一度修正した箇所は次から正しく翻訳されるので、使えば使うほど精度があがっていくところにも魅力を感じました」
- 「CKD では、カタログのDTP 作業のオペレータを社内に置いていましたが、InDesign からPDF に変換するのにかなりの時間を要していました。例えば1 万1,000 ページのカタログを作成する場合、印刷用カタログ、Web 用カタログにそれぞれ1 か月、のべ2 か月の時間がどうしてもかかり、その間はオペレータの待機期間になってしまうのです。業者に任せっぱなしでは見えない問題点も見えてきて、こういった無駄な時間の効率化を図ることができました。その結果、独自の処理方法で2か月の作業を1日半で行うことができるようになりました」
- 「以前は、カタログ翻訳の精度をあげるために働いているはずの英語ネイティブの翻訳担当者が、そのようなメール文のチェックにも駆り出されていました。ところが、シストランのAI 翻訳を導入後、そのような依頼はパッタリとやんだそうです。翻訳担当者からは『私のクローンを作ってくれて、ありがとうございます』と感謝されました。」
給付
14日の翻訳作業を数分間に短縮
コストも約75%の削減を実現
翻訳の精度が上がっただけでなく、制作日数も大幅に短縮された。人手で翻訳をしていたころの17 の制作工程のうち、業者との見積りや発注、修正指示などの工程がなくなり10 工程になったため、印刷まで平均26 日かかっていた制作日数がなんと7日程度になったのだ。
一方で心配されたのはセキュリティの問題だったが、シストランのAI 翻訳は、サーバーを他社のユーザーと共有するようなクラウド サービスではなく、顧客ごとに構築した専用サーバー環境や、社内オンプレミス環境でセキュアに運用できるので安心だった。さら に、常時複数のサーバーで運用しており、どれかが落ちてもシステムが使えなくなることがないという点も重要だった。
バージョン情報 CKD
CKD株式会社は1943年の創業から自動化技術や流体制御技術のパイオニアとして、あらゆる産業分野の自動化に取り組んでいる機械メーカー。自動機械装置と機器商品の2つを軸に展開しており、その技術は自動車、家電、スマートフォンなど、多種多様な製造現場で活用されている。
グローバル展開をしている同社にとって最大の課題は、50万アイテムを超える製品群のカタログ翻訳だった。というのも、同社のカタログには総合カタログと単品カタログの2種類があるのだが、総合カタログだけでも9,400ページに及び、その翻訳には膨大な手間とコストがかかっていたからだ。
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メリット
島 竜一郎 氏
機器営業統括部 販売促進部 部長
CKD株式会社
「シストランのAI 翻訳を導入することで、カタログ翻訳にかけていたコストを10 か月で約75%削減することができました。」